水資源・保全
近年着目されている「水資源・保全」について、当社グループの事業は現在、ほぼ国内で完結しており水ストレス地域と言われる場所での事業はありません。よって、水質/水量の認可・規格・規制に関わる事案や事故もありません。しかし今後の海外(水ストレス地域含む)事業への展開も鑑み、水資源・保全に関する取り組みとして以下の活動目標を掲げます。
- 水循環利用の積極的推進
- コンクリート製品製造過程における水使用量の削減
- 排水における水質改善、河川・海洋環境の保全
当社グループはコンクリート製品の製造を行う工場を保有しており、製造過程で水を大量に使用します。以下に各工場における取水量を示しますが、今後、現状の排水量の把握、そして活動目標に示す水循環、水使用量の削減を計画的に実施いたします。
2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | ||
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取水量(t) | 関東工場 | 16,893.0 |
17,897.0 |
27,492.0 |
滋賀工場 | 583.4 |
746.0 |
815.8 |
|
福岡工場 | 5,391.9 |
4,597.9 |
5,251.7 |
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総量 | 22,868.3 |
23,240.9 |
33,559.5 |
以下に、水循環利用、河川・海洋環境の保全に関連する当社の取り組み事例を紹介します。
● 河川内の作業ヤード敷設における河川汚濁防止措置
土砂が田川に流れ込まないよう施工時の水位程度まで細粒分の少ない割栗石を敷き均し、同時に大型土のう設置地盤の整生を行いました。盛土前に割栗石と盛土材の間に吸い出し防止材を敷設することにより、盛土撤去の割栗石間に詰まった土砂による河川汚濁のリスクを低減させ、護岸ブロックにおいても土木シートを敷設することにより汚損も防止いたしました。
長野自動車道 塩尻IC ~ 松本IC間 橋梁耐震補強工事

● 循環水利用による水耕栽培・養殖を実現する
高効率システム開発
循環水による水耕・養殖を行うアクアポニックスは、水産養殖の「Aquaculture」と水耕栽培の「Hydroponics」からなる造語で1980年頃のアメリカで発祥したと言われています。当社保有技術の応用が本システムに活かせるとの発想から開発がスタートし、「システムの高効率化」「水耕直物の発芽率向上」さらに「廃棄物の更なる再利用(発酵ガス)」に取り組んでおります。
当社が開発した高効率アクアポニックスシステムは、水生生物が排出する排泄物が植物に直接供給され、それが植物の栄養源として利用されます。さらに、微生物が残留物を効率的に分解・吸収し、その結果として浄化された水が養殖水槽に戻る循環が効率的に成立するシステムです。
- 高効率な有機栽培が可能
- 初期投資コストの削減
- 生産性の向上
- 低濃度アンモニア態窒素の浄化を実現


開発を進めている中で、ナノバブルと呼ばれる小さな泡を使うことで老化した難発芽性種子である本わさびの大幅な発芽率の向上に寄与することを発見しました。そのメカニズムは、ナノバブルがカリウムイオンを種子の内部に能動的に運び入れる現象によるもので、ナノバブルがある場合と無い場合で水溶液中のカリウムイオン濃度に大きな差異が出たことで明らかになりました。
今回の発見は、生命現象を含めた様々な分野での実用展開に向けて新たな一歩になり得るものと考えています。